演劇集団キャラメルボックスの自己破産に伴うスタッフへの未払い賃金および役者への出演料の支援を検討するにあたり、公的な機関からの支援がないか調べてみたところ、国の制度で未払賃金立替払制度なるものが存在することが分かった。

 

未払賃金立替払制度とは、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して未払賃金の一部を立替払する制度で、全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しているものである。

 

これは「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて実施されているようで、法律が定める要件を満たせば未払賃金の一部が政府が事業主に代わって立替払いされるようだ。

 

認定要件はあるものの、株式会社ネビュラプロジェクトが労災保険の適用事業場であれば、問題なく立て替え払いが受けられ、スタッフの経済的問題は多少は軽減されるのではないかと思う。

 

なお、立て替え払いされる額は未払い賃金の8割で、退職時の年齢に応じ88万円~296万円の範囲が上限。ボーナスは未払い金額に算定されないようだが、未払い給与のあるスタッフは活用しない手はないだろうし、管財人は当然に債権者に対し手続きを勧めていることであろうと思う。

 

スタッフ20名の未払い賃金額は東京商工リサーチの報道によると一人あたり平均673万円。スタッフの年齢や未払い金額の内訳も不明であるため単純な計算はできないが、本制度の利用により債権額の数分の一程度の未払い賃金は補償されるのではないかと考えられる。

 

【参考】賃金の支払の確保等に関する法律施行令に基づく限度額

   
未払賃金の
限度額
立替払の
上限額
退職労働者の退職日における年齢 45歳以上
370万円

296万円

30歳以上45歳未満
220万円
176万円
30歳未満
110万円

88万円

出展:厚生労働省 東京労働局 未払い賃金立て替え制度

 

【リンク】厚生労働省:未払賃金立替払制度の概要と実績

【リンク】労働者健康安全機構:未払賃金の立替払事業